故人を送り出すための納骨
親しい人が亡くなると、通夜、葬儀、告別式と立て続けに儀式が続き、悲しいのと同時に忙しい時間が続くことになります。しかし、これらの儀式が終わったからといって故人を完全にあの世へ送り出すことができるわけではありません。火葬された遺骨をお墓や永代供養墓に納骨して一つの区切りになります。
そこで、今回は納骨に関してその概要から、葬儀後から納骨までの流れなどについて紹介します。故人とのお別れをしっかりとするためにも納骨について学んでおきましょう。
納骨の概要を確認
亡くなった人の亡骸は通夜、葬儀、告別式を経て火葬され、焼骨になり骨壷に収められるのが一般的です。この骨壷に収められた遺骨をお墓に収めることを納骨と言います。
お墓はいってみれば故人にとっての家であり、終の住処とも言える大切な場所です。納骨をすることは、故人に新しい居場所を用意することでもあり、安らかに眠ってもらうという意味合いもあります。
また、納骨までは遺骨がそばにあった遺族にとっても、納骨をひとつのきっかけとして故人の死をより現実のものとして受け止めることになります。親しい人が亡くなると悲しい気持ちになるのは当然と言えますが、いつまでも悲しんでいては次の生活に向けた1歩を踏み出すことができません。納骨は、遺族にとっても少しずつ寂しさや喪失感を和らげていき、気持ちを整理するためにも重要な儀式なのです。
納骨はいつ行う?一般的なタイミング
納骨は一般的に「四十九日法要」の後に行われます。四十九日は故人が亡くなってからちょうど7週間が経過したタイミングです。これは仏教の世界では、四十九日が閻魔大王による死者の裁きが終わり、故人の魂がこの世を離れあの世へと旅立つ日とされているためです。
ただ、納骨は厳密に四十九日のタイミングで行わなければいけないというわけではありません。例えば、ちょうど四十九日当日が平日だと遺族が集まりにくいこともあるため、四十九日に近い土曜日、日曜日に納骨を行うこともあります。
また、亡くなったのが急であるとお墓の用意ができていないこともあります。そういったときは四十九日よりも遅くなるケースもあります。
四十九日で納骨できなかった場合、次のタイミングとなるのが「百か日」です。百か日とは百か日は泣くことから卒業するといった意味合いがあり、遺族にとっても故人への悲しみから卒業するタイミングだとされています。ちなみに、このタイミングで遺品整理も行うのが一般的です。こちらも四十九日同様ひとつの区切りになります。
百か日の後だと、一周忌のタイミングで納骨を行うパターンもあります。一周忌は、喪が明けるタイミングであり、故人を悼む日々から脱することになるときです。こちらも、気持の整理をつけるといういみでもちょうどいいタイミングだといえます。
このように、一般的には四十九日に行うというイメージのある納骨ですが、実は細かい決まりはありません。そのため、いつまでも故人のそばにいたいという理由から納骨をせずにいつまでも遺骨をそばに置いておくこともできます。
ただ、先述の通り、お墓は故人にとっての新しい居場所、家であるため、いつまでも納骨しないのは故人のことを考えるとあまり望ましいことではありません。納骨のタイミングは周囲の状況を考慮しながらきめるようにしましょう。
亡くなってから納骨までの流れを確認
ここからは人が亡くなってから納骨までがどういった流れで進んでいくのかについて確認していきましょう。基本的な流れを簡単にまとめると以下のようになります。
- 亡くなる
- 葬儀の準備(葬儀会社への連絡)
- 遺体の移動および安置
- 通夜、葬儀・告別式を行う
- 火葬
- 初七日法要(葬儀のタイミングで合わせて行うことも多い)
- 四十九日法要
- 納骨式(納骨を行う儀式)
このように、いくつかのステップをへて納骨となるわけですが、遺族がやるべきことは沢山あります。
まず亡くなってから葬儀までは
- 死亡診断書の発行
- 火葬許可証の発行
- 火葬場の予約
- 葬儀会社の決定
- 遺体の搬送先の決定、搬送
- 葬儀のプラン決定、打ち合わせ
- 親族や親しい人へ連絡
- 納棺
- 通夜
の準備をしなければいけません。一般的に通夜は亡くなった日の翌日(夜遅くに亡くなった場合は翌々日のこともある)に行われるため、亡くなった直後から急いで手続きなどを進める必要があります。
また、通夜の翌日には葬儀・告別式、火葬も控えています。葬儀への参列者が多い場合は、参列者対応などに追われるケースもあります。そして、火葬をするにあたっては火葬許可証が必要になるので、忘れないようにしてください。この火葬許可証は火葬後に証明印が押され、そのまま納骨時に必要な書類になるのでちゃんと保管しておきましょう。
なお、火葬は火葬場の空き状況によってタイミングが左右されますが、法律によって亡くなってから24時間以上経過していないと行えないと決められています。
いずれにしても、亡くなってからの数日は非常に慌ただしく過ごしていくことになります。火葬後も先述の通り四十九日法要があり、その後納骨式をへて納骨することになります。納骨式を行う場合は、僧侶の方に来てもらう事になるため、お寺に事前に連絡して日程を決めておく必要があります。納骨式の日程が決まったら親族なども連絡しましょう。
また、お墓に戒名を彫る場合は、石材店への注文も必要になるほか、納骨時には墓石を動かす事になるため、必要に応じてこちらの作業も依頼する事になります。そして、納骨時は先述の遺骨埋葬許可証(火葬許可証)を持参します。納骨式の後に食事の席を設けるのであれば食事などの手配も進めなければいけません。
納骨の流れは以下のようになります。
- お墓の石蓋をあける
- 骨壷を収める
- 石蓋を閉める
- 墓前に花や線香を供える
- 読経後、焼香してお祈りする
もし、四十九日までにお墓が間に合わない場合は、四十九日法要だけを先に済ませ、お墓ができてから改めて納骨を行うことになります。
ちなみに、お墓を購入する意思がない場合は永代供養墓も選択可能です。永代供養墓とはお寺や霊園などの納骨堂に遺骨をおさめるというもので、供養と管理を任せることができる一方で、他の人の遺骨と一緒になってしまうため、分骨や改葬の対応ができなくなります。
納骨式参列時も香典は必要になる
葬儀に参列する時には香典を持参し渡すのがマナーですが、納骨式を行う時にも葬儀の時とは別に香典を用意するのが一般的です。金額に関しては、10,000円〜20,000円ほどが相場とされていますが、納骨式のあとに食事の席がなければ5,000円ほどになります。金額に関しては故人との関係性によって変わってくるので一概に断言することはできません。
納骨までしっかりと行い気持ち良く故人を送り出そう
今回は、納骨についてその概要、行うタイミング、亡くなってから葬儀〜納骨までの流れなどについて紹介してきました。
今回の内容をまとめると以下のようになります。
- 骨壷に収められた遺骨をお墓に収めること
- 故人にとっては新しい居場所へ移る意味が、遺族にとっては故人に対する気持ちの整理を行うという意味合いがある
- 納骨は四十九日のタイミングで行うのが一般的だが、百か日や一周忌で行うこともある
- 納骨のタイミングは厳密なルールはないが、いつまでも納骨をしないのは故人のためにも望ましくない
人が亡くなると寂しさや悲しさに襲われますが、それと同時に葬儀に向けての準備などに追われることになります。納骨を一つのタイミングとして、それまでに気持ちの整理ができるようにしましょう。