葬儀の一般的流れについて
人が亡くなったときにはお通夜、葬儀、告別式と段階を踏んでいきます。厳密にいうと、人が亡くなってから○日目にお通夜を開く、と細かく決まっているわけではありませんが、人が亡くなってからできるだけ早く葬儀の準備をしなければいけません。
宗派や宗教によっても異なってきますが、葬儀での一般的な流れは、亡くなった日を1日目とカウントすると、2日目の夜にお通夜、3日目の午前中から告別式と火葬を行うスケジュールになっています。
なお、法律で死後24時間以内に火葬をするのは、特別な事情がない限りは禁止されているため、火葬は必ず亡くなった日以降、一般的にはお通夜を行った翌日に告別式と一緒に行うようになっています。
また、できるだけ早く葬儀を行わなければいけないとしていますが、葬儀会社や葬儀のプランを決めたり、亡くなったことを親族などに知らせたりといった準備も必要です。通夜は午前中ではなく夕方から夜にかけて行うため、もしも亡くなったのが午前中やお昼の場合は、翌日がお通夜に間に合うこともありますが、亡くなったのが夕方や夜の場合は、一日は準備に当て、その次の日、つまり翌々日にお通夜を開くこともあります。
まとめると、以下が一般的な葬儀のスケジュールの流れになります。
1日目……故人を亡くなった場所から自宅や斎場へ移動し、安置させます。その後、お坊さんや葬儀会社の人と打ち合わせを行い、葬儀の具体的な日時を決めていきます。葬儀の日時が決まれば、親族や故人の友人に、亡くなったこととともに葬儀の日程を連絡します。
2日目……夕方から夜にかけて、一般的には18時ごろからお通夜を開きます。お通夜を開く場所は自宅や斎場とさまざまで、参列者が焼香をしたり、お坊さんにお経をあげてもらったりして進行していきます。また、お通夜が終わった後は、親しい友人や親族、お坊さんを招いて「通夜振る舞い」を行うのも一般的。通夜振る舞いではお寿司やお酒などを用意し、故人の思い出を語るなどして過ごします。
3日目……告別式の後に火葬を行うため、一般的に午前中から始まります。お経をあげてもらったり、焼香をしたりした後に、近しい家族や親族のみで集まって、出棺や収骨を行って終了です。
もちろん、地域や親族内の風習によってスケジュールは異なってきますが、一般的には全部で3~4日間で葬儀が完了することになります。
午前中の葬儀のみ「一日葬」とは
一般的には、葬儀といえばお通夜を行い、翌日告別式と火葬を行う流れになっています。けれども、近年は葬儀の形も多様化し、お通夜を行わずに、午前中から行う告別式や火葬のみを行う「一日葬」を選ぶ人も多くなりました。
葬儀のスケジュールを決める上では、葬儀に参列する人の仕事などの都合を聞くだけでなく、お坊さんや火葬場に空きがあるかも考慮しなければいけません。特に、友引は利用できない火葬場が多くなっているため、亡くなった日の翌々日が友引の場合は、一日待ってから火葬と告別式を行わなければいけないため、葬儀全体のスケジュールが一日長くなることになります。
さらに、地域によって火葬場は先着順ではなく予約制のため、予約がいっぱいで火葬ができない、という場合もあります。
葬儀全体のスケジュールが長くなると、遺族や参列者に対しての負担も大きくなってしまうデメリットもあります。そのことから、スケジュールも負担がかかりにくい、お通夜を行わない一日葬も葬儀のスタイルとして人気となってきているのです。
一日葬がおすすめのケースとは
遠方の人が多い
お通夜と告別式を行う一般的な葬儀のスケジュールでは、遠方からの参列者は葬儀のために一泊する必要があります。自宅に宿泊してもらうための準備をする、ホテルを手配するなど、遺族や参列者にとっても葬儀に時間がかかるため負担となってしまうことも。日程によってはホテルが満室などでとれず、やむなく宿泊費が高額になってしまうこともあります。
一日葬にすることで、お通夜がなくなり午前中から告別式と火葬を行いますので、遠方からの参列者が多い場合は宿泊のための手間や費用などの負担を減らせます。
高齢の人が多い
お通夜や告別式は、焼香や読経などに時間がかかり、高齢者の人は長時間座っているのに体の負担がかかることも。さらに、お通夜と告別式に参加するために宿泊を伴うと、さらに負担になることもあります。高齢の参列者や親族が多い場合も、一日葬にすることで、宿泊がないだけでなく、場所の移動も少なくなるため、葬儀での負担も少なくできます。
忙しい人が多い
葬儀に参加する上では、当然仕事などのスケジュールも都合をつけて参列しなければいけません。多忙でなかなかスケジュールが確保できない人は、お通夜と告別式の2日間にスケジュールを取られるだけでも負担になってしまうことも。
また、仕事だけでなく受験シーズンの学生なども、葬儀の参列で受験勉強が遅れてしまうことがあります。忙しい人が多い場合も、一日葬にすることで参列者のスケジュールにも融通をつけやすくなります。
できるだけ費用を抑えたい
葬儀にかかる費用は、祭壇やお棺、お花などの設備のほかにも、お坊さんの手配、さらに参列者への香典返しや通夜振る舞いの食事代など多岐にわたります。できるだけ故人に寄り添った葬儀を行いたいと思っても、費用面で負担が大きい場合も。
一日葬にすればお通夜がなくなるため、お通夜にかかる費用をカットできるようになります。期間や身体的な負担だけでなく、できるだけ金銭的な負担を抑えたいときにも、一日葬は選べる葬儀のスタイルの選択肢のひとつになるでしょう。
お別れする時間はゆっくり欲しい
お通夜は故人が火葬される前に、ゆっくりと最後のお別れができる貴重な機会です。お通夜を行わないことで費用や身体的な負担は減りますが、故人とゆっくり過ごせる時間がなくなってしまう、というデメリットもあります。そこでも一日葬にすれば、故人とゆっくり話せる時間はもちつつ、一日だけで葬儀が完結できるため、最後のお別れも十分にできます。
風習を重んじる人が多い
身体的、または金銭的な負担を減らすためにお通夜を行わない、としても親族の中には風習やしきたりを重んじる人も少なくありません。お通夜を行わない選択肢に対して反対が多く、なかなかお通夜を行わない、という選択肢ができないこともあります。
一方で、一日葬を選ぶとお通夜は行わないものの、きちんと故人とお別れをする時間も設けられているため、風習やしきたりを重んじている人にも受け入れられやすく、周囲の同意も得られやすいです。
午前中からの葬儀は、安い以外のおすすめポイントもある
一般的な葬儀のスケジュールとともに、一日葬の概要やおすすめのケースを紹介しました。ここでポイントをまとめておきます。
- 一般的な葬儀は亡くなった翌日の夜にお通夜、翌々日の午前中から葬儀や告別式が行われる。お坊さんや火葬場の都合によっても葬儀全体のスケジュールが長くなってしまうこともある。
- 一日葬とは、身体的または金銭的な負担を減らす目的で、お通夜を行わず午前中からの葬儀のみを行う、新しいスタイルの葬儀。
- 一日葬は、高齢者や忙しい人、しきたりを重んじる人が多い場合や、できるだけ費用を抑えたいとき、お通夜は行わないけれども故人とゆっくり過ごす時間が欲しいときにおすすめ。
一日葬は、お通夜を行わないことで葬式の費用を安く抑えられるだけでなく、参列者や遺族の負担を減らす、さらに故人とゆっくり過ごせるメリットも得られます。一日葬は、自分らしく最期を迎えたい人にとって人気の葬儀スタイルのひとつになっています。
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